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#832 小説書いてみた!
よく風呂で妄想している内容を小説にしてみました。
少ないボキャブラリーと、行き当たりばったりで展開されていくのが特徴です。
ものすごーーーく暇で何もする事がない時にでも読んでみてください!


少女はパンを吟味する その1


墨を流し込んだように黒く染まった森。
空から差しのべる優しい月明かりは鬱蒼と茂る木々に遮られ、闇が支配する世界がそこにあった。
今、その世界に二つの光を見出すことができる。
一つは闇から逃れようと、もう一つは逃さまいとしているように見える。
逃さまいとする光の持ち主は白装束を纏った男であり、頭に登山用のヘッドランプを装着し、右手には時折ギラッと鈍く光を反射する金槌が握られている。

数分前、男は一心不乱に藁人形に釘を打ち込んでいた。
憎悪に満ちた言葉を吐きながら、恨み、忌み嫌う相手を藁人形に見立て釘を打ち込んでいく。
一本、また一本と釘は増えていき最後の一本となったその時、かすかな音が、乾いた枝が折れるような音が聞こえたように思えた。
一切の動きを辞め、首だけを動かし周囲の闇を凝視する男。
1分が過ぎ、2分が経ったが、どこからもそれ以上の音は聞こえてこない。
気のせいだろう。そう判断した男は再び釘を打ち込もうと藁人形へ視線を戻し金槌を振り上げる。
しかし何かは隠れていた。
男の背後にある茂みに隠れていた何かはこの瞬間、男が一本の釘に集中する瞬間を見逃さなかった。
森の出口、つまり何かと男から見ての正面。
その方向めがけ茂みから飛び出した何かが男の脇をすり抜けて行く。
完全に虚を突かれた形となった男が確認出来たのは、何かが動物ではなく人間だったという事だけだった。
離れていく光を見つめながら男は自分に問うた。
この儀式は誰かに見られてしまえば効果が無くなってしまうのではなかったか?
この儀式は誰かに見られてしまえば自分に呪いが返ってくるのではなかったか?
男は握っていた金鎚をさらに強く握りしめる。
それが男の出した答えだと言うかのように。

何回もこの地へ足を運ぶうちに体が自然と地形を覚えていたのかもしれない。
追跡は思いのほか容易で相手との距離は徐々に縮まってきている。
しかし闇が次第に薄くなっている事に男は焦りを感じていた。
今まで密だった木々がまばらになってきているという事は森の終り、出口が近づいている事を意味する。
葉や枝の間からは闇の世界から光を逃すため、月明かりが道標のように差し始めている。
その月明かりに腰辺りまである黒く長い髪、華奢な体、懐中電灯を握る細い腕、光の持ち主の姿が照らし出された。
自分の獲物となる者が少女だと分かると男は狂喜し、自然と足が速度を上げる。
だが、それがいけなかった。
足元への注意を怠った結果、地面に露出した木の根に躓き派手に転んでしまったのだ。
すぐに顔を上げたが、光はどこかへと消えてしまっていた。
男は焦り、額から流れる血を拭うのも忘れて周囲を見回す。
再び懐中電灯の明かりを消し、茂みの中へ身を潜められたら探しだすのは難しいだろう。
数分前のように音を立てるヘマはもうしないはずだ。
立ち上がった男は重い足取りで森の出口付近に作られた公園に足を踏み入れる。
公園にはブランコや滑り台、鉄棒、そして公衆トイレが設置されていた。
公衆トイレ。
数十秒じっと見つめた男は、にたぁっとこびり付くような笑顔を浮かべながら、染み込むようにトイレの中へ消えていった。

定期的に掃除がされているのか、よく公衆トイレに漂っているアンモニア臭はない。
男からみて右手側は壁になっており、左手側に個室が4つ並んでいる。
か弱く、いつ消えてしまうか分からない蛍光灯の下、楽しむようにゆっくりと個室の扉を押し開けて行く。
一つ目・・・。
二つ目・・・。
男には少女がどこにいるか分かっていた。
だが、それでも全てのトイレの扉を開けずにはいられなかった。
三つ目・・・。

最後の扉の正面に立った男は暫く時間を置き、懸垂の要領で体を持ち上げると、両肘を桟にかけ個室の中をのぞき込む。
思った通り、少女がそこにいた。
黒い半袖にジーンズ、出来るだけ目立たない服装を選んのだろう。
少女は洋式トイレに座り込み、俯き、両手で頭を抱えていた。
男が入ってきたのは分かっているはずだ。
もはや為す術は何も無く、ただひたすらに恐怖が去ってくれるのを願っているに違いない。
その様子を満足げに眺める男。
数分が過ぎ、視線を感じたのか、何も起きない事に安堵したのか、少女はゆっくりと顔を上げ始める。
分けられた前髪から覗く額、滑らかに弧を描く眉、大きく見開かれた切れ長の目。
男は吐息とともに吐き出すように言った。

「みぃつけた・・・」

男には少女の心境が容易に想像できた。
驚愕の次には恐怖が訪れ、目には涙が浮かび、キッと結ばれた唇は歪み始める。
声を挙げる事も出来ず、後悔と懇願、そして絶望が入り混じる。
好奇心は猫をも殺すと言うように、彼女の場合も好奇心が、ちょっした刺激を得るだけのはずが
自身を絶望的状況に追いやる結果になってしまった。
状況を把握したのか、見開かれた目が元の大きさに戻り口元が歪み始める。
だが何かがおかしい。
確かに歪んではいるが男の想像していたものとは違う。
口の両端が僅かに釣り上がり、微かに笑みを、それも挑戦的な笑みを浮かべているようにも見える。
なぜそんな表情ができる?この僅かな時間で気が違ってしまったのか?
男の表情から余裕が消えた時、少女の唇が動き始める。

「この後どうなるか知ってる?」



つづく

自作小説・少女はパンを吟味する | 2010/05/01(土) 02:45 | こめんと:(0)
めっせ~じ
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